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アァ余情。

「人はなぜ、行動するのか?」行動力を上げたい人にお勧めの本~「行動の科学」マイケル・ボルダック著~

 

今回は行動力を求めている人にお勧めの本、「行動の科学」をご紹介します。


「 人はなぜ、行動するのか?」

端的に結論から言うと、実際に動いてみなければ「何をするべきか?」「何がやりたいのか?」ということが分からないからです。

今回ご紹介する本は、

なかなか前に進めないでいる時などに、「行動するためにはどうしたら良いのか?」という疑問に答えた内容です。

行動の科学――先送りする自分をすぐやる自分に変える最強メソッド

行動の科学――先送りする自分をすぐやる自分に変える最強メソッド

 

 

オレンジ色の表紙からして、思わず手に取りたくなるような、親しみやすく、快活なエネルギーが湧いてくる装丁になっています。

パッケージのセンスは購買意欲に大きな影響を及ぼすともいわれております、

つい、会いたくなる人も第一印象で決まると言われているくらいですから

数ある本の中から見つけてもらうためによく練られたデザインなのではないでしょうか、中身が大事とはいえど、知ってもらう(読んでもらう)きっかけは案外見た目だったりします。

私自身、行動力が欲しかった最中に本書と出会い、なんとピンポイントな本があるのだと思い、

内容と見た目どちらにも惹かれ、小旅先の書店にて即買いしました。

 

はじめに

著者のマイケルはこう語ります、

情報は力である—。みんなそのように教わり、信じているようだが、私は同意できない。間違った教えともいえる。なぜなら情報を知ったからといって、現実は変わらない。得た情報を活用し、行動に移してはじめて現実は変わるのだから。情報はあくまで”潜在的な力”であり、使わなければなんの価値も生み出さない。行動こそが”現実を変える力だ。 

 

 情報、知識は学ぶだけではなく、行動、実践することではじめて現実は変わります。

 

  • プロローグ 「著者のマイケル自身が行動を先送りすることで経験した困難」
  • 第一章 「先送りの行きつく先は死である」
  • 第二章 「痛みと快楽の法則」ー私たちの行動を生み出している原動力
  • 第三章 「リミティング・ビリーフ」ー行動に無意識にブレーキをかける信念
  • 第四章 「視覚・聴覚・身体感覚などの内的再表現」「言葉」
  • 第五章 「理由」-成功の80%を占めるものについて

 

プロローグ

著者は目標達成コーチングのエキスパートで知られています。

彼はビジネスコンサルティングの世界的権威であるブライアン・トレ―シーから、

成功を得ようとする人たちに示される道は3つあると言われました。

1 「ちょっとやってみる、かじってみる」道。

2 ストレスの道。

3 コーチングの道。

それぞれについて説明すると、

 

1「ちょっとやってみる、かじってみる」という道。について

自分の望むゴールを設定したほとんどの人は、とりあえずゴールに向かって行動を起こしていきます。その過程で私たちは必ず、大なり小なり何かしらの障害(壁)に直面することになります。これは大きなゴールを目指すときに避けて通ることができない事柄です。しかし、1つ目の道にいる人は、そこで簡単に行動をやめてしまいます。彼らは障害(壁)を嫌い、障害(壁)を乗り越えないことには何かをマスターすることなどできないと知っているはすなのに。当然、この道にいる人はゴールにたどり着くことはできません。理想の人生を生きるためには、必要なことを必ずマスターすると決断しなければならない。

 

2ストレスの道。について

ゴールを目指し、何かをマスターすることにコミットし、行動を続けると、必ず障害(壁)にぶつかります。しかし、障害(壁)にぶつかってもちょっとやそっとであきらめたりはしません。障害(壁)にぶつかってストレスを感じても、行動をやめず、試行錯誤(トライアンドエラー)を繰り返すので、いつかこの障害(壁)を乗り越えることができます。しかし、この道にいる人にはあることが起きます。

それは、やっと突破できたと思っても、すぐにまた次の障害(壁)が現れることです。

またもストレスを感じながらの試行錯誤の連続が待っています。

徒労感と疲労感に苛まれる一方で、周囲からその努力が称賛されたとしても、ストレスフルな日々が続きます。

 

コーチングの道について。

どの道を行っても、結局のところ必ず障害(壁)には直面します。

ただ、3つ目の道はほかの2つの道とは圧倒的に違うところがあります。

過度にストレスを感じることなく障害(壁)を乗り越え、ゴールに達成することができるという点です。

それは何かと言うと、すでに自分の欲しい結果を得ている人、お手本となる人を見つけ、その人をコーチとして、具体的なゴール達成の方法を教えてもらうということです。

 

著者はこの中の3つ目の道、コーチング、モデリングの道を推しています。

2つの道があるとして、あなたならどちらの道を選ぶでしょか?

 

◎大きな成功と幸せをもたらすのはどのような考え方なのか、やり方なのかを試行錯誤を繰り返し、答えを探し出す。

 

◎コーチから自分の理想の人生を歩むための考え方ややり方を具体的に教えてもらう。

 

 

例を挙げると、以前、著者はタイのバンコクで次のアポイントメントに向かう途中で道に迷ってしまい、一緒にいた友人は、彼が遅れてしまうのではないかと、大変心配してしまったそうです。しかし著者は、コーチングの原則を使って、タクシーを停めて自分の行き先を伝え、運転手に目的地まで誘導してもらい、そのおかげで簡単に、時間通りに目的地にたどり着くことができました。

 

要するに、自分ひとり闇雲になって不確かなゴールを探し続けて、もがき苦しむよりかは進むべきゴールへと誘導してくれるコーチのような存在を味方につけた方が効率よく、確実にゴールへと向かうことができるので、最短のルートであるそれをお勧めするよ。ということでしょう。

 

著者は幼少期に父親が母親を殺害するというショッキングな出来事に合い、そのトラウマから、重度の吃音症と極度の対人恐怖症を患いました。しかしその後、人生の各分野で、3つ目の道であるコーチング、モデリングを活用することで、それらの病を克服し、人生を一変させることに成功させたそうです。

 

第一章 「先送りの行きつく先は死である」~「先送り」はあなたを殺す~

多くの人の代表的な障害(壁)、それが「先送り」、「先延ばし」です。

それによって、夢や目標に向かうはずのモチベーションをなくしてしまい、「やらない」という結果で終わってしまうことが多いようです。

しかし、人は行動を起こさない限り、決して現実が変わることはありません。

「面倒くさい」「明日やればいいや」「他にやることがある」「忙しいしお金もないからやっぱり無理」・・・。

人間なら誰しも、こんなことを考えたり、やるべき課題をほったらかしにしてしまったことがあるのではないでしょうか。

ただし、もしあなたが先送りをして、即行動ができないことで悩んでいたとしても、あなたの性格、ましてや人格に問題があるわけではありません。自分自身に失望したり、否定する必要はまったくありません。実は「すぐにやれない人など存在しない」そうです。

すぐに行動に移せないことで困っている人がいるとすれば、その人はただ、すぐやれない状態であるだけ。私たちの行動は、自身の感情が原因となって決まる。

つまり、行動できないという結果は、行動できないような感情が原因となって生まれてる。

どうやら、行動に向かっていけるような感情をデザインし、行動できる状態をつくれば、誰でも見違えるようにアクティブになれるようです。

 

もし今、あなたが人生において望んだ結果を手にすることができずにいて、なんらかの不満を感じていたのなら、その不満という結果は、過去におけるなんらかの先送りが原因となって今のあなたのもとにある。

 

完璧主義ほど低い基準はない?

 

 

完璧主義、というと高い基準と持ち、卓越した結果を出すプロフェッショナルな人、といった良いイメージが思い浮かぶ。

しかし、完璧主義者ほど万全な準備をし、確固たる価値ルートを見つけることに腐心する。例えば、セミナーのコーチである著者のスクールに通う参加者の中に、質問しても、正解かどうか不安だと手をあげず、恥をかくくらいならしない方が良いと思い、あれこれ長い時間準備を続け、行動に移そうと思っても、やはりまだ完璧な状態といえないような気がして、とまた準備し、再度行動に移そうと思ったときには、外的な状況が変わって(時すでに遅し)振り出しに戻り、また一から準備がはじまり…、という繰り返しという人がいるそう。

著者は、

そのように「100点満点でないと動けないというのは単なる逃げ口上である」

と言います。準備に完璧さはもとめないでください、と。

 

先送りの行きつく先は死

ついつい、「今日はいいやw」「明日からにしようw」と物事を先送りにする人がいます。

しかし、著者はそのような意識の低い人に対して痛烈な一言を放ちます。

先送りの究極の結果は”死”である。

なんとも強烈な、と思う人もいるでしょう。

人間関係、ビジネス、キャリア、財政面、感情、成長…、先送りは私たちの理想の人生を徐々に破滅させることになる。

先送りは”ドリームキラーである”とのこと。(バクになぞらえることもできそう…)

 

恐怖のゆでガエル現象

「ゆでガエル現象」をご存じでしょうか?

煮えたぎった鍋にカエルを入れようとすると飛び上がって逃げていきますが、冷水が入った鍋に入れ、ゆっくりと火をかけていくと、温度の上昇に気づかずにいずれゆで上がってしまう。危機的状況が近づいているにもかかわらず、「まだ大丈夫」と自分を騙し騙ししているうちに破滅に向かうという警句です。

 なんとも残酷で恐ろしい…。

簡潔に述べると、”人は急な危険には反応して避けるが少しずつ悪い方向に向かうことにはなかなか気づかない”、ということでしょう。

ビジネス環境の変化に対応する事の重要性、困難性を指摘するために用いられる警句だそうです。

科学的には必ずしもそうなるとは限らないそうですが、

比喩として使われているようです。

詳しく知りたい方はウィキることをお勧めします。

茹でガエル - Wikipedia

 

極論とも言えますが、

そのように、人はやりたいこと、しなければならないことを「先送り」、「先延ばし」にして、

目標や夢を後ろ倒していくうちに、人生に置ける負債を抱え、悪運を引き寄せ。

悪習慣から、病気に、そして最悪の末路として、死に至るというのです。

(まさに負のスパイラル…)

卑近な例をあげると、

 

現実逃避→うつ病→自殺

 

…といった感じでしょうか。

変わることを恐れそれをあきらめた人に待っているのが死、

ということは、生物学的にも説が出ています。

ダーウィン種の起源で次のようなことを語っています。

生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである。

 

有利な個々の変異を保存し、不利な変異を絶滅すること – これが自然淘汰である。

自殺を選んだ人とは、変化することをやめることによって、

自ら淘汰される道に進んだのだと考えられます。

それは意識的にせよ無意識的にせよ、種の保存、自然淘汰の摂理にのみこまれてしまったということになるでしょう。

matome.naver.jp

 

 

”行動”というテーマから、”自殺”という重い話にシフトチェンジしてきました…。

これがいわゆる、ゆでガエル現象!?という黒き諧謔(ブラックユーモア)はさすがに笑えないので置いておきます。

それだけ、行動とは人生を大きく変えるほどの力を持った重要なテーマでもあります。

 

それでは、変化を恐れず立ち向かい、生き生きと輝くにはどうしたら良いのでしょう?

 

第2章「痛みと快楽の法則」ー私たちの行動を生み出している原動力

先送りの原因を特定するには、「痛みと快楽の法則」を理解する必要があります。

 

痛みとは何か?快楽とは何か?を理解することは、行動を阻む壁を壊し、すぐにゴールに向かって前進するためには絶対に必要なこと。

私たちの行動のすべては、大きく分けると2つのモチベーションで支えられています。

  1. 「できる限りの快楽を得るため」のモチベーション
  2. 「痛みを避けるため」のモチベーション

1つ目の「できる限りの快楽を得るため」のモチベーションとは、

素敵な家が欲しい、異性にモテたい、年収をアップさせたい、

美味しいものが食べたい、海外で素敵な休暇を楽しみたい、好きなだけアプリゲームに課金したい、万巻の書に囲まれたい(笑)など、報酬の得られるものが当てはまります。

 

2つ目の「痛みを避けるため」のモチベーションとは、

狭い家に住んでいたくない、誰からも嫌われたくない、無一文になりたくない、

粗末な食事をしたくない、つまらない仕事を繰り返す毎日を変えたい、働きたくないw

といったように「逃げたい」という欲望のことを指します。

 

生きとし生けるものほとんどが、肉体的にも精神的にもできるだけ痛みを避けようとする傾向があるということはご承知の通りだと思います。

私たちは本能的に可能な限りの快楽を得て、可能な限り痛みを回避するという目的を持っているということです。

 

痛みと快楽は人それぞれ

私たちの脳は、いつも快楽を得る経験を最大化するために、

自然な成り行きで「これは痛みと快楽、どちらを意味しているだろう?」と判断しようとしています。

つまり、私たちは痛みか快楽のいずれかをきっかけとして行動しているわけです。

例えば、自宅にいてお腹が減ってきた、けれども家に食べ物がない。という場面を想像したとき。

ある人は、活動的で健康的なスマートな身体、体型であることに快楽を連想していて、太っていて疲れやすく、見た目にも醜い姿に苦痛を連想していたとしましょう。

この人は買い物に出かけて身体によい食材を買ってきて、健康的な食事を用意して食べるという行動を選ぶかもしれません。

 

 

一方ある人は、人生は短いからとばかりに、今好きなものを好きなだけ食べること、便利さ、手軽さに快楽を連想し、食事制限、我慢、買い物に出かけたり調理したりといったことに苦痛を連想していたとします。

するとお腹が減ったらすぐに受話器をとってピザとビールを注文するという行動に移るかもしれません。

 

このような何気ない日常の一コマでも、私たちはつねに痛みなのか快楽なのかを検討し、行動します。

そして多くの場合、何かを痛みだと解釈すると、意識的にも無意識的にもそれを避けようとします。

何に痛みを結びつけるかによって、人は避けるものが決まります。

失敗に対して痛みを感じるなら、失敗を避ける行動を取り、痛みを結びつけたものが何であっても避けようとする。

そして、何かを快楽と解釈とすると、それに向かっていこうとする。

興奮、喜び、幸福といった感情は、行動への燃えるような願望を生み出す源となる。

 

そして、このような痛みは解釈・連想を意識的に変えることもできます。

つまり痛みは自分が思い込み、生み出した主観的なものであり、

いわば幻想のようなもの。

同じような痛みでも人の数だけ受け取り方は異なり、

痛みなのか、快楽なのか、というのは客観的には推し量れないというのです。

 

先送りという快楽は持続できない

それでは、先送りは痛みなのか?それとも快楽なのか?というと。

実はそれは、本来やるべき行動に痛みを連想し、先延ばしすることに快楽を連想しているということになる。

しかし、世の中は甘くなく、そのように先送りをし、短期的な快楽ばかりに手を伸ばすと、後に”耐えがたい痛み”というしっぺ返しが回る。(よくできてる)

現在の自分に耐えがたい不満を感じているとしたら、それは過去の自分が簡単に手に入る快楽を選び続けた結果(ツケ)というわけです。

心理学者のウォルター・ミシェルによって、1960年代後半から1970年代前半にかけてスタンフォード大学などで行われた「マシュマロ実験」という有名な実験があります。被験者は4歳の子どもたち。1人ずつ小部屋に呼び、その子の前にマシュマロ1個入ったお皿を置きます。そして「ごめんなさい、ちょっと15分くらいここで待っててね。私たちが戻ってきたときにまだマシュマロが残っていたら、もう1個あげるからね」などと言って子どもを1人にします。

結果は、およそ3分の1の子どもが我慢してもう1個マシュマロをもらったそうです。

面白いのはここからです。

14年後の追跡調査では、我慢できた子どものグループのほうが学校の成績がよく、さらに40年後の追跡調査でも年収や社会的ステータスにおいて我慢できた子どものグループのほうが高かったようです。

一概にはいえないですが、

短期的な快楽よりも長期的な快楽を選ぶことが、将来的に大きな差を生み出すことを示唆する大変貴重なデータといえます。

 

痛みと快楽に翻弄される側ではなくコントロールする側になるには?

「すべての成功の基盤は自己規律である。すべての規律ある努力に対しては何倍もの報酬がある。そして、”自己規律を守る痛み”か”後悔の痛み”のどちらかが必ず存在する。

ただし、自己規律を守ることの重みは数グラムであるのに対して、後悔の痛みは数トンである」

アメリカのビジネス哲学の第一人者、ジム・ローン)

 

成功において、自己規律が重要と分かっておきながら、

なぜ多くの人がそれを守らないのでしょうか?

著者はその答えを見つけることで、ゴールへと向かうことを動機づける秘訣を理解できる、と言います。

 

動機づける能力とは、ダイエットすることに痛みを感じ、甘いものに快楽を感じてしまうように、”痛みと快楽にコントロールされる”のではなく、

自分という存在を上手く制御することで、痛みと快楽をコントロールする能力なのだと…。

 

痛みと快楽というそれぞれの感情的ニーズを満たす様々な選択肢に目を向けて整理すると…、

  • 分類1:今、気分がいいけれど、長期的に見ればよくない行動。
  • 分類2:今、気分がよくないけれど、長期的に見ればよい行動。
  • 分類3:今、気分がよく、長期的に見てもよい行動。

という3つの分野に分類ができます。

 

分類1~刹那的快楽を求める行動~

一般的に成功していない人の多くが当てはまる。

その瞬間は気分が良くなるけれど、長期的に見ると健康や経済的に良くないことをしている。ex.飲酒、喫煙、薬物…

彼らの頭には今感じられる快楽を最大にするという一つのゴールがある。

しかし、行き過ぎると10年、20年、30年後には、その日暮らしをし、痛み苦しみ、打ちのめされていることが多い。最悪の場合麻薬中毒アルコール中毒になり、生きるために政府や慈善団体の保護を受けることになる人もいるかもしれない。

成長意欲や勤労意欲、規律を持ち合わせておらず、自分を犠牲者と考え、その結果をもたらした原因を自分ではなく、経済やその他のリソース不足のせいにする。

そこまで事態が深刻でないから大丈夫、と言う人の中には、

職に就いているけれど給料をもらうために最低限のことしない場合がある。

そういった人は表面上悪く見えなくても、心の奥では明らかに自分が幸せではないと分かっていて、もっと規律を正しくすれば、今よりもはるかに良い生活を手に入れることができることを知っている。

長期的には痛みをともなう結果を生む破壊的悪習慣を身につけていて、

それは、人間関係のトラブル、キャリアの低迷、身体的疾患、経済的問題、離婚、鬱、肥満、孤独などにつながることがある。

 

自分自身の行いや習慣によってもたらされた耐え難いつらい結果を経験し、

もうこれ以上痛みを感じたくないという状態に達したときに、人はようやく自分の行いを変え、規律を守りはじめるようになる。

しかし、そうなってからでは手遅れ、とう事態もありうることは想像に難くない。

 

†分類2~あえて痛みを受け入れた行動~

痛みを避けるための欲求から規律を守ろうとすると、分類2の行動(今、気分がよくないけれど、長期的に見ればよくない行動)の考え方をしていることになります。

そしてそれは、間違いなく分類1(今、気分がいいけれど、長期的に見ればよくない行動)の考え方より優れています。

しかし、しばらくの間は痛みに耐えられるものの、結果的にはいつも最初の痛みをもたらしたもとの破滅的な悪習慣に戻ってしまうのがよくあるパターンです。

例えば、ダイエットに挑戦したとして、初めは勢いで続けてみるものの、しだいにそれが苦痛に感じるようになり、モチベーションが下がり、ダイエットをサボることを正当化するようになるという「喉元過ぎれば熱さを忘れる」状態になる恐れがあります。

非常に多くの人が「痛みなくして得るものなし」という考え方を信じています。それはには多少の真実も含まれていますが、痛みを痛みとしのままとして受け入れたモチベーションのほとんどは持続できるものではありません。行動そのものが楽しくないことにより、いつまでも長続きせず、結果的にモチベーションもなくなります。痛みは人生の継続的な成功と幸せを与えてくれないということです。

 

†分類3~短期的にも長期的にも快楽を感じる行動~

 この分類こそが、私たちの目指すべきパターンです。

長期的成功習慣を生み出す唯一の効果的な分類3(今、気分がよく、長期的に見てもよい行動)にあります。分類3は現在進行形の快楽と、未来への長期的な快楽をもたらすよい行いです。

それはどういった人のことを言うのかというと、規律を守る過程を楽しもうとする人です。

 例えば、受験勉強において勉強することに自己成長を感じ、将来の夢に通じると考えて勉強しているような人です。彼らは受験勉強という”過程そのもの”に快楽を覚えています。すなわち、その本質は成功習慣を形成すること自体を快楽としていることです。

長期的にゴールにフォーカスし、何に快楽を結びつけるかコントロールする方法を学んだ人です。

 

痛みを快楽に結びつけるには?

 

では、どうすれば規律を守ることと快楽を結びつけることができるのか?

人間は失敗を痛みと結びつけたら、なんとしても痛みを避けようとする行動を選択してしまいます。そうではなく、目の前の課題に取り組むという行動と快楽を結びつける神経回路を新しくつくらなければなりません。

もし、大きな喜びをゴール達成と結びつけたら、先送りするのではなく、行動するためのモチベーションを得ることができます。

このように、行動へ対する痛みと快楽の意味づけを逆にするのこことで、私たちはつねに前向きな行動を選ぶことができます。

著者は、痛みと快楽というコンセプトをセミナー参加者に理解してもらうため、

次のような話をしました。

 「ここにドックフードがあります。1000円差し上げあらこのドグフードを食べる.という方どのれくらいいいますか?」ほとんど場合、この時点ではバラバラと手をあげる人がいる程度です。「あまりいないですね。では金額を変更しましよう。1万円差し上げたらこのドッグフードを食べるという方は?」手をあげる人は増えますが、まだ少数です。「では、100万円ではどうでしよう?もしかするとまだ足りないという方もいるかもしれません。1000万円ならこのドッグフードを食べるという方は?」そして私は質問を続けます。

「あなたの夢や願望はなんですか?もし1000万円を手に入れることで自分の夢や願望の実現の助けとなるのであれば食べますか?1000万円というと人によっては年収以上の金額です。このドックフードを食べるだけで、1000万円があなたのものになるのです。このお金でできることを考えてみてください。欲しかったものも買えるでしょうし、新しいビジネスをスタートさせる資金にすることもできます。自分の教育に投資することもできますし、優雅な旅行を楽しむことだってできます」ここまで来て、まだ私の提案に「イヤだ」と答えるのなら、大きなお金を手にすることと快楽を結びつける以上に、ドックフードを食べるということに苦痛を結びつける以上に、ドックフードを食べるということになります。

ここで問われているのは、ドックフードを食べるということをどのように解釈して、意味付けをしているかということです。ドッグフードを食べることを快楽だと感じられれば、食べるという行動を選ぶでしょう。しかし、ドックフードを食べるということが痛みを意味するのであれば、食べることはないでしょう。ここまで多くの人は手をあげますが、まだ手をあげない人がいます。「では、1億円ではどうでしょう?1億円でできることを考えてください。かなりのことが実現できると思います。1億円ではどうでしょう?1億円でできることを考えてください。かなりのことが実現できると思います。1億円ならドックフードを食べますか?」私の経験では、これでもあげない人がいます。その人にとってはお金が大きな要因とはならないのです。

それでは、少し違った提案に変えてみましょう。

「もし、あなたがこのドックフードを食べることで世界中の争いがなくなり、平和が訪れるとしたらどうでしょう?それならドックフードを食べるでしょうか?」

ちなみに、2013年に世界で発生したテロ攻撃による死者数は1万8000人にもなるそうです。そしてこの数は、年々上昇傾向にあるといいます。そのような事実、データについてもお知らせしながら、再度質問を重ねます。

「あなたがドックフードを食べることでこの1万8000人の命が救えるとしたらどうでしょう。こうした争いの犠牲になる人の命を救うためだとしたら、あなたはドックフードを食べますか?」

1億円でも食べないと言っていた人でも、ほとんどの人が食べると答えます。

さて、この一連の「ドックフード」の質問で見えたものがあるはずです。

すなわち、もし何かをやるために必要かつ十分に大きな理由があればあなたは「やる」ということです。例え1億円でもやらないと言っていた人も、大きな理由があれば瞬時にして「やる」と言います。

なぜなら、ドックフードを食べるという行動の意味が痛みから快楽へと変わったからです。十分に大きな理由がドックフードを食べるという行動を価値あるものへと変えたということです。

 

†痛みを快楽に変換する方法①~具体的なゴールが快楽を呼ぶ~

上記のドックフードの例は極論ですが、人間が即行動するために必要な本質的な要素を示しています。

その1つが、ワクワクするような長期的ゴールを持つことです。

魅力的な長期的ゴールー先の例でいえば世界平和ーがあれば、イヤなことから逃げること(という刹那的な快楽)を選ばずに、未来のために行動するモチベーションが生まれます。

脳は、短期的(瞬間を楽しむ)、あるいは長期的(過程を楽しむ、持続可能な幸福)な快楽を与えてくれるものに近づこうとします。

後者の快楽を追いかけられないと、いつも短期的な快楽の誘惑に負けてしまします。

「もっとお金を稼ぎたい」「痩せたい」「恋人が欲しい」などといった一般化(大まかしてしまうと、いつゴールを達成したのか、もしくはゴールに向かって進んでいるのか自分で確証が持てないことです。それでは、長期的な快楽の特徴である”過程”を楽しむうことができません。

そのため、具体的にな目標をたて、行動することが大切です。

著者「具体的に月々どのくらいの金額を稼ぎたいのでしょう?」

参加者「月5万ドルです」

著「それは税引き後純利益が総収入のどちらでしょう?」

参「総収入です」

著「そこからどれだけの純利益をあげたいですか?」

参「私は80%のマージンを得ているので、月に4万ドルはあげたいです」

著「今現在、月にどれほどの純利益をあげていますか?」

参「月の純利益が2万ドルです」

著「このゴールをいつまでに達成したいですか?」

参「3ヵ月後です」

これらの質問をし終えたときには、彼のゴールは当初の「もっとお金を稼ぎたい」といった抽象的なものではなく、「2010年の3月31日までに月2万ドルの純利益から、月4万ドルの純利益にする」というように、具体的なものの見方ができるようになったそうです。

そして著者は「自分がゴールを達成したと実感できるのはどんな状況になったときか」

視覚的、聴覚的、身体感覚(感情)等、ゴールを達成したと分かる感覚に基づいた証拠を見つけることが重要だと言います。

 

†痛みを快楽に変換する方法②~自己規律によって快適領域を広げていく~

2つ目の方法は自己規律です。

喜びを遅らせる能力、つまり長期的快楽を得るために短期的な犠牲を払うことのできる能力が成功への秘訣

実は私たちは、そのことを全員分かっています。

肉体トレーニングになぞらえて、筋肉質の身体をつくることを考えてみましょう。

そのためには、もうこれ以上は動けないぐらいの負荷を肉体にかけてウエイトトレーニングするという日々の規律を守る必要があります。そうすることで筋肉の発達を促すことができます。

筋肉が耐えうる限界までウエイトトレーニングすると、短期的には不快感を覚えますが、長期的に運動する習慣がつくられるとその報酬は何倍にもなって返ってきます。

成功を収めた人は、快楽を遅らせること長けており、自己規律が守れる人です。

長期的な成功を収めるために必要な日々の行動、そして、短期的な快楽を放棄するのに必要な日々の行動、そして、短期的な快楽を放棄するのに必要とされる日々の行動を継続的にすることによって、自身が何よりも求めるゴールを達成するということです。

 

しかし、受け入れることができる短期的な不快感、不快的さにも個人差や段階があります。

いきなり、自分が快適と感じることができることができる領域(コンフォートゾーン)を大きく超えて不快なことに挑戦すると、その行動が習慣になる前にやめてしまいます。

習慣にならなければ、本来得たかった結果を手にすることはできません。

ですので、まずは無理のない範囲で快適な領域を出て自分に負荷をかけ、それに慣れたらさらに快適な領域を出て、また自分に新しい負荷をかける。これを繰り返していけば良いです。少しずつ自分に負荷をかけ、段階的にその負荷を大きくしていくことで、自分の快適領域を広げていきましょう。

習慣として取り組み、気がついた時にはすっかり快適領域は広がっていて、以前は受け入れることができなかった不快な行動も、簡単に受け入れることができるようになるでしょう。(一歩ずつ…)

 

第三章「リミティング・ビリーフ」ー行動に無意識にブレーキをかける信念~私たちを足踏みさせる思い込みを壊せ~

第一歩を踏み出せずにいる時、その足にしがみついているもの、

それがビリーフです。

ビリーフとは、信念であり、確信の度合の高い思い込みのことです。 

このビリーフが、目の前の行動にとって快楽を意味するのか、痛みを意味するのかを無意識のうちに決定づけるのです。

もし自分にはほんの少ししか可能性がないと信じ、小さなゴールしか設定しないと、その人は自分が可能と考える範囲でしかゴールを達成することができません。

ビリーフは潜在能力よりも上位に位置しています。ですので、ビリーフが潜在能力を抑えつけるものか、そうでないかがとても重要になります。

 

ビリーフは無数にありますが、大きく4つにカテゴライズすると、

◎可能性

◎アイデンティテイ

◎価値観

◎ルール

 

があります。

 

可能性について

私たは意識的にも、無意識的にも、自分に何ができて、何ができないのか、という確信の度合いが高い思い込みを持っています。これこそ、私たちが持っている可能性のビリーフであり、私たちはこのビリーフに基づいて何かを考え、行動しています。

そして最も、早く進捗する秘訣は、大きく考え、大きなゴールを設定することです。

「夢は大きく」することによって、成長へと向かう歩幅も大きくなります。

人は賞金100万円よりも1000万円のレースの優勝を目指すときのほうが、ほんきになります。

 

大きいゴール=大きいモチベーション

小さいゴール=小さいモチベーション

 

しかし、大きいゴールのほうが大きなモチベーションが得られるからとはいえ、非現実的なあまりに大きすぎるゴールを設定するのも問題です。

65歳の運動経験のない男性が、次回のオリンピックの100メートル走で金メダルをとる、というゴールを設定したらどうでしょう?もし達成すればオリンピック史上最高齢の快挙達成です。客観的に見て実現は困難です。同様に本人も実現の可能性をあまり信じていないのなら、モチベーションは起こりません。この男性はゴールに向けて何の行動もすることはないでしょう。

ではどうするのか?

 

ゴールの設定をする時、極端に高すぎず、低すぎず、50%程度の確信度を感じるレベルで設定することです。

成功確率50%、失敗確率50%という快楽と痛みの狭間で両方の感情を持つことができる究極のバランスが、私たちに自然とモチベーションを与えてくれます。

失敗をどのように受け止めるべきか?

適正と感じるゴールを設定しても、そのすべてを期日どおりに達成できるとは限りません。時には望んだとおりの結果がえられないこともあります。そんな時、失敗をどのように受け止めるかが重要です。

私たちは多くの失敗を正しく解釈しなければなりません。失敗したのは、決して自分がダメな人間だったからではなく、もっと何かを学ぶ必要があったということです。

失敗とは「何かを学び、考え方なりやり方を変える必要がありますよ」というサイン、単なるフィードバック(反応)です。

◎この出来事のよい点はなんだろう?

◎何がまだ完璧ではないのだろう?

◎望む状態を実現するために、進んで何をやる?

◎望む状態を実現するために、何をやめる?

◎どのようにそのプロセスを楽しむことができるだろう?

これらを自分に問いかけ、それに答えることで失敗を正しく解釈し、失敗を一時的なものととらえ、力に変えることができます。

そして私たちは、いつも真実に基づいて何かを考え、行動しているわけではありません。自分が真実だと思い込んでいることに基づいて何かを考え、行動しています。

どのような能力を発揮していくかは、どのようなビリーフを持っているか、とどのつまり、「自分はどのような人間か」というセルフイメージ(自分について抱いているイメージ)に大きく影響されるということです。

 

アイデンティティについて

自分に対して、自分をどのように説明しているか、自分が何者なのかというイメージ、これがアイデンティティです。アイデンティティは私たちが持っているビリーフの中でも、最も強い影響があるものです。

著者は、自分らの可能性を閉ざしてしまうようなビリーフのことを、リミティング・ビリーフ(自分を制限する思い込み)と呼んでいます。

例えば、「私は怠惰な人間だ」といったように…

同じように、「自分は先延ばし屋だ」と信じていたら、先延ばしで苦しむことになることはほぼ確定したものということです。

 

私たちがどのように先送りしているのか、アイデンティティがいかに私たちに強い影響を与えているのかをより理解するためのニューロ・ロジカル・レベルというものがあります。これは、世界的に著名なNLP(神経言語プログラム)のトップトレーナーであるロバート・ディルツ博士が、グレゴリー・ベイトソン文化人類学・精神医学などの研究者)の学習と変化における4つの基本モデルとして使われています。

神経言語プログラミング - Wikipedia

 

 ニューロ・ロジカル・レベルには次の6つの階層があります

  1. 環境:「いつ」「どこで」という環境レベルの外的な要素。
  2. 行動:得たい結果に向けて「何をするのか」「何をしているのか」という行動ステップに関わる要素。
  3. 能力:「どのように」行動していくのか、という計画や戦略に関わる要素。
  4. 信念・価値観:私たちから特定の反応、能力、行動を引き出したり、止めたりするもの。人の行動、モチベーションに関係している内的な要素。
  5. アイデンティティ:「私は何ものなのか」という自分の役割に関わる要素。
  6. スピリチュアル(精神性):「私は何のために生きているか、私は私以外の存在にどんな影響を与えているか」という、自分が属するより大きなシステムに関する要素。

ここで重要なのは、ニューロ・ロジカル・レベルの「上位レベルは、下位レベルに影響し、なんらかの変化を起こす」ということです。

例えばある人が、「私は何のためにこれをやるのか?」という理由がなく、ただただその日稼いで食べて生きることだけにフォーカスし(集中する)、私は怠け者で、先延ばし屋だ、というアイデンティティを持っていたとします。

すると、その下位にある信念、価値観はこの影響を受けます。自分のことを怠け者だと信じていたら、即断即決、実行という価値観は持てないでしょう。そして、自分がすぐにできるとも信じないでしょう。

この信念に基づいて、下位にある能力、行動は制限されることになります。

 

アイデンティティを変えるためにあえて痛みを感じる

「先延ばし屋だ」と、ネガティブなアイデンティティを持っていると、迅速に行動に移ことは難しくなります。これは大きな障害です。

そこで、「この思い込みを持ち続けたとしたら、将来どのような最悪なことが待っているのだろう?」と自分に質問してみましょう。

すると、痛みをともなうたくさんの不幸な未来が想像されると思います。

ここでは、痛みを避けることなく想像し、痛みを感じることが大切です。

これは、アイデンティティを変えるための準備として必要なこととなります。

十分に痛みを感じたら、次に「自分のゴールを達成するために、自分の理想の人生を生きるために、どんな人間であるべきだろう?」と自問自答します。

仮にこのケースで「私はすぐやる人だ」と信じることが必要だと思ったとします。

「私はすぐやる人だ」と声に出してみて、力が湧いてくる感覚があれば、それこそ信じるべきことです。ここで得た答えは、自身のアイデンティティにすべきであり、これから確信の度合を高めていかなければならないものです。もっと大きな、自分に力を与えてくれるようなアイデンティティを持つことを、己に許可することで、あなた自身のアイデンティティを「先延ばし」から「すぐやる人」に書き換えることが大切です。

 

価値観について

価値観は、私たちが人生の中で、何を好み、何を嫌い、何を望み、何を避けようとするのか、という無意識の選択をコントロールしているプログラムの1つです。私たちを望ましい結果に導いてくれる価値観がある一方で、無意識のうちに行動にブレーキをかけている価値観もあります。

価値観について、私たちの中にはたくさんの矛盾があるものです。そして、時にその矛盾が私たちの行動にブレーキをかけ、苦しめます。

「成長したい、だけど今はそれに挑戦するのは恐くて…とてもじゃないけど動けない」

というように…

 ではどうしたらいいのかと言うと、

価値観はその時の人生のステージ、自分の状態によって柔軟に変化、進化させていけばいいのです。

自分自身に対し、次のような質問をします。

◎理想の人生を実現し、なりうる最高の自分になるために、自分の価値観は何であるか?

 

◎ほかにどんな価値観を加える必要があるか?

◎理想の人生を実現するために取り除くべき価値観は何か?

◎この価値観を持つことで得られるベネフィットは何か?

◎理想の人生を達成するために私の価値観はどの順番である必要があるか?

 

価値観は自身を導くコンパスのようなものです。このコンパスが間違えていたら当然日々進むべき方向を決める決断は間違ったものになりますし、行き着く先も間違えった場所になってしまいます。以上の質問で私たちはコンパスを点検、調整することができ、素晴らしい人生に向かうことができます。

 

ルールについて

ルールというと、日本人には「規則」や「決まり」と解釈されそうですが、少しだけニュアンスが違います。ここでは「Aという条件が満たされたとき、Bという感情を感じる」という条件反射のようなものとして扱います。

例として、「雨が降ると腰が痛む」という知人がいたとします。

その人は「雨が降ると腰が痛む」ということをルール化し、これを受け入れることによって、感じなくてもいい痛みを感じていると思われます。もしこのルールを捨てることができれば、腰痛に悩まされる回数は減るのではないでしょうか?

この仮説がどこまで正しいのかは置いておくとして、良くも悪くも、ルールというのは身体レベルにまで影響を及ぼすということは間違いない、と著者は述べます。 

 

私たちは生まれてから成長する過程で、人それぞれに違った情報に接し、個別の経験を通して、自分では知らないうちに、自分の中にたくさんのルールをつくっています。それによって、ルールというのは十人十色、多様性があり、同じ経験をしても、同じ環境にあっても、人によって異なる感情を持つようになる理由のひとつがこのルールになるというわけです。

 

私たちたちの行動を決めるのは感情です。では、どのような感情が私たちを後押しし、または行動を阻んでしまうか整理してみます、

行動から遠ざかる感情の例

◎不安、恐怖。

◎混乱、困惑。

◎虚しさ、失望、敗北感。

◎嫉妬。

◎劣等感、不足感。

◎怠惰。

これらの感情を持っていたとしたら、すぐに行動したくなるような状態ではなくなると思います。

行動を先送りにせずにすぐにやる人は、行動から遠ざかる力を奪うマイナスの感情を感じづらいルールを持っています。

 

一方、行動につながりやすい感情とは。

行動したくなる感情の例

◎自身、確信。

◎充実、喜び。

◎楽しみ。

◎希望、期待。

◎充実感。

◎ワクワク。

これらの感情を持っている人は、すぐに行動したくなるような心理状態になっていると思います。

このような感情を持つためには、ルールを満たす条件を簡単にし、かつ少なくすることがポイントです。学んでいるときにはいつでも自身を感じる、決断したらいつでも確信を感じる、など、どんなときでも特別な条件、外的な条件が揃う必要がなく、その場で感じることができるものにすることが大切なポイントです。

すぐやる人は行動したくなる思いを簡単に感じることのできるルールを持っているというわけです。

 

自分のルールに気づく

そこで、自身がどのようなルールを持っているのか?ということを分析することが大切です。

◎行動したくなる感情を持つ条件、ルールとは?

◎行動したくなる感情を持つ条件、ルールとは?

そうすることによって気づいたことが、あなたが持っているルールです。

どのルールも、ある時にじっくり検討して決めたものではないと思います。

誰かが言っていることだったり、自分自身の経験則から知らないうちに持っていたルールです。

そうして自分の無意識の中にあったルールを見つけたら、そのルールを変えることも可能です。

たとえば、行動したくなる感情が「自信」だとします。

多くの場合で自信を感じることができれば、とても素晴らしい毎日になります。

大切なのは、感じたい感情を持つためのルールは少なく、そして簡単にすることです。

◎深呼吸をしたときは、いつでもリラックスし、自信を感じる。

◎計画を立てたときは、いつでも自信を感じる。

今までのルールからさらに簡単に、よい感情を持つことができる新しいルールに書き換えてみましょう。

それから、「怠惰な感情」といったように、イヤな感情を持ちづらくするルールをつくるときのコツも覚えておくと良いです。

怠惰な感情を感じるルールが「完璧に予定どおりにこなせなかったとき」だったとします。そのように、ルールが1つしかなくて、その条件を満たすのがとても簡単なものだったりすると…、いとも簡単に悪い状態に陥ることができ、何かと行動を先送りしてしまう毎日になってしまいます私たちの毎日は、予想もしない出来事が起きるので、すべてをコントロールすることは非常に難しく、そうしたルールでは簡単に悪い状態になってしまいます。

「仕事をしたくない、と思いつづけたとき」といったように、「○○をしつづけたとき」

「△△と思いつづけた時」の形にすることで、条件を満たすことを一気に難しくすることができます。

行動したくなくなるような感情を、簡単には感じることができないようなルールに書き換えることがコツです。

 

第四章 「視覚・聴覚・身体感覚などの内的再表現」「言葉」~一瞬で行動的な人間に変化する~

第二章の「痛みと快楽の法則」を理解し、第三章で説明したリミティング・ビリーフの破壊に成功したなら、行動を阻害する要因はかなり減ったといえます。

次に残る障害として、内的再表現(インターナル・リプレゼンテーション)と言葉があります。

私たちは、目で見て、耳で聞いて、身体で感じたことを、自分の中で再表現しています。そして、この再表現によって行動への障害が生まれることがあります。

内的再表現を簡単に説明します。多くの人は目に見えるものが現実だと信じています。

しかし、私たちは、現実そのものを見ているのではなく、心の中で再表現した”主観的現実と呼ばれるものを見ています。同じ出来事を経験しても、感じ方が人によってまったく異なるのは、それぞれが個々の内的再表現をしているためです。

内的再表現がネガティブな場合、私たちにネガティブな行動をさせたり、行動意欲を減退させてしまいます。しかしネガティブからポジティブな内的再表現に変換することは可能です。そうするには思考、感情、行動、習慣の変化が求められます。

 

吃音症を克服した著者

吃音症で悩んでいた著者は言葉を話す能力を上げようとするのではなく、感情のコントロール法を学ぶことによって、吃音症を克服することができたそうです。また、自分の兄の喫煙に関しても、そうした方法を学び、禁煙させることに成功したそうです。

 

そして、4つの障害の克服方法のヒントとは、

◎ビジュアル。

◎恐怖。

◎外的要因。

◎言葉。

です。

 

ビジュアルについて

「ビジュアル」をいかに攻略するかについて考えてみます。

ここでいうところのビジュアルには、物理的な見た目や重さはもちろん、時間や作業量、工程といった精神的な負担も含めて考えます。負担を感じすぎると見るからにやる気をなくし、あるいは聞いただけで辟易してしまい、行動が億劫に感じてしまいます。

勉強に例えると、300ページもあるずっしりとした問題集に取り組むとします。

見た目にもとても分厚く、膨大に感じられる量に圧倒されてしまい、負担に感じ、思わず面倒になり、明日からやればいいやと思い、取り組むことを先送りしてしまいます。

このように、大きすぎるチャンクで見ることなく、自分が過剰に負担を感じることなく、これなら取り組みやすいと感じられるまで、チャンクダウン(かたまりを小さくバラす)することがポイントです。

「象を食べるのなら一口ずつ」というアフリカの格言のように、大きすぎるかたまりではなく、取り組みやすい適切な大きさに切り分けてから取り組むことが必要です。

もし、大きな課題を適切な大きさにバラしてやるべきことを難しく感じ、混乱してしまうとしたら、大きな課題を適切な大きさにチャンクダウンするために、「この結果を得るためのキーとなる要素は何だろう?」と質問することが重要です。

それから、マインドマップなどの思考ツールを活用することもお勧めです。

 

逆に、行動を小さすぎる破片としてとらえても問題が起こります。

先ほどの例でいえば、1日に問題集を1ページ終わらせるというかたまりから、さらに細分化していって1時間当たり何問解く、1問何問ペースで解く、というレベルまでバラしていくと、人によっては想像するだけで疲労感や面倒くささを感じてしまい、やる気を失う可能性があります。必ずしも細かくバラすことだけが正解とはいえません。

あくまで適切なサイズのかたまりにしてとらえることが大切です。

どのようなサイズなのかは人それぞれで異なり、行動に向けてこれならやれそうだ、という確信の感情が得られる程度のかたまりでとらえるのがポイントです。

 

また、時間についても、どのようなチャンクとしてとらえるかが重要です。

運動の習慣がない人が、ある日突然思い立ち、毎日ジョギングを1時間やろうとしたとします。

すると、1時間というチャンクがあまりに大きすぎるように感じ、圧倒されて、ジョギングすることに痛みを連想するようになり、何日もしないうちにやめてしまうということも珍しくありません。

なので、チャンクを分割するという考えに従い、まずは時間のかたまりを小さくして、毎日10分という単位まではじめることでそれほど負担や苦痛を感じずにすぐに行動することができます。

運動の効果としては、1時間やるより10分やるほうがずっと小さいとしても、まずは実際に運動をはじめることが重要です。

そうすることで、快適領域、つまりは自分の限界値を少しずつ広げていけばいいだけです。

塵も積もれば山となります。1週間ごとに5分ずつ増やしていけば、およそ2か月後には当初の目標の1時間に到達します。そこまで続けた後は、1時間といわず、さらに時間を増やすことも苦痛にはならないでしょう。筋肉を伸ばすストレッチと同じで、はじめはすぐに痛くなってしまい、例えあまり動かせなかったとしても、繰り返すことで、少しずつ動かせる範囲は広がっていきます。

 

恐怖について

失敗に恐怖を感じること自体は決して悪いことではありません。その感情は、必要な準備、対処を十分にするよう私たちに警告しているからです。

しかし、過度に恐怖を感じることは、行動することに痛みを結びつけ、現状を維持することに快楽を連想するようになります。

恐怖は現在進行形で襲い掛かってくるものではなく、記憶の中、あるいは想像上のものです。他人の痛みを想像する感受性は人間としてなくてはならないものです。しかし、過度に自分で自分の悲惨な未来をつくり上げ、それに対して恐怖におののく必要はありません。

「起こりうる最悪の結果は何だろう?」 

「私はそれに対処することはできるだろうか?」

この2つの質問を満足な答えが得られるまで十分に準備することは大切です。

その後は、こうなったらイヤだな、困るな、という避けたいことばかり想像するパターンは手放すことです。

そして、自分の向かいたい、実現したい姿をイメージすることが大切です。自分のやり遂げた姿、その時の状況を何度も何度もイメージします。

こうしたことを”ビジュアライゼーション”といいます。

対象が何であれ、フォーカスするものによって感情はコントロールされます。しかし、単にフォーカスの対象そのものではなく、どのようにフォーカスするのかも重要です。

そして、ビジュアライゼーションは臨場感が大切です。

人はモダリティーといわれる視覚、聴覚、身体感覚を通じてこの世界を知覚しています。さらに、それぞれのモダリティには、認識のためのいくつかの要素があります。

  • 視覚:色、形、明るさ、鮮明さ、動き、距離など。
  • 聴覚:音の大きさ、音の高さ、音のスピード、リズム、音の聞こえる位置など。
  • 身体感覚:温度、湿度、感触、形状、重さ、圧力など。

これらの要素をサブモダリティといいます。

つまり、モダリティーは何を「見ているのか(視覚)」「聞いているのか(聴覚)」「感じているのか(身体感覚)」の要素であり、サブモダリティーはそれぞれどのように聞いて、どのように感じているのかを示す要素です。

 

効果的にビジュアライゼーションする秘訣は、映画館が行っているのと同じようにサブモダリティーを使うことです。映画館で流れるのは画像ではなく、”映像”です。それに、テレビで見るよりもずっと大きな画面、スクリーンです。さまざまなシーンが、色鮮やかに表現されています。そして、身体を震わすほどの高品質の音響がさらに観客の気持ちを盛り上げます。

ビジュアライゼーションを効果的に活用していない場合、ゴールを達成することは難しくなります。なぜかと言うと、ゴール達成に必要な感情を何も持っていないからです。

効果的なビジュアライゼーションとは、すでに成功した自分自身を想像しながらワクワクすること、さらには有頂天になることです。

 

外的要因について

多くの人たちを足踏みさせる3つ目の障害はフォーカスの欠如です。

私たちは、数十年前に比べて、フォーカスを失ってしまうトラップが多い時代に生きています。っ電話やテレビはもちろん、インターネットの発達によってメールやフェイスブック、LINEなどのSNSサービス、ユーチューブなどの動画サイトやネットサーフィンなど、私たちの注意を引いてしまうものが周囲に氾濫しています。

そういった外的要因のせいで、本来その時間に集中すべきポイントからフォーカスを失い、いつの間にか日が暮れてしまい、後悔しているという人も多いと思われます。

フォーカスを失うことは、生産性を下げ、本来やるべきことを先送りする大きなきっかけとなります。

人には1秒間に約200万ビットもの情報が五感を通して伝わってきます。しかし、そのうちの134ビットの情報しか処理することはできないと言われています。1パーセントに満たないものしか処理できないということは、何にフォーカスするかは重要な問題です。

そして、1日の中で集中して作業に取り組む時間を予定しておき、その時間は電話やメール、そのほかのメッセージに対応しないで集中して作業に取り組み、求める結果にフォーカスすることも有効です。

プランを立てる際には、頭の中で「そうしよう」と決めるだけではなく、実際に自分の予定を管理しているカレンダーなどにも予定を書き込んで、時間をブロックし、自分との約束事をすると良いです。

また、仕事や作業をする時に、騒がしい環境では集中できない場合、場所を移すなどすることで集中できる環境を整えることで、快適に望むことができ、生産性も飛躍的に向上するでしょう。

 

コンディショニング

フォーカスを保つためには、徹底的に自分をコンディショニングすることでが適しています。

フォーカスは質問から生まれます、

もし「昨日の夕食は何を食べましたか?」と質問されれば、ただちに昨日の夕食の献立を思い出すはずです。どんな質問であれ、質問によって私たちのフォーカスはコントロールされます。

「私の得たい結果は何だろう?」と自分に問うために、携帯の通知機能を使い、その質問を定期的に発するように設定したり、身近な部分に着ける、例えばリストバンドにそのメッセージを記し、常に気づきやすくするなどして目につきやすくし、必要なフォーカスを生み出すようにル―ルをつくることがお勧めです。

 

言葉について

人はネガティブな言葉を使えばネガティブな性格に、ポジティブな言葉を用いればポジティブな性格に。といったように、言葉に影響されます。

言葉は感情を生み出します。

感情は行動を生み出します。

行動は結果を生み出します。

悪い言葉を使うことは悪い感情を生み出し、悪い行動を生じさせ、悪い結果をもたらす。そして悪い結果という結果は、さらに悪い言葉のパターンを強化することになります。怠惰や、弱さといった感情を持ちはじめ、たちまち行動への決断、確信、推進力が弱まってしまいます。それが日常的なクセとなってしまった場合、先送り自体がくせになってしまいます。

さらに、「それはうまくいかない。きっとお客さんが求めていることではないし、喜ばないだろう、それに競合する企業がいるかもしれない…。」というような問題は、想像であり、事実ではありません。

冷静に考えれば、事実でない情報に振り回され、結局行動しないのと同じとなります。

仮にそのような言い訳ストーリーがパターン化してしまっているとしたら、すぐに行動し、理想の人生を実現させていくストーリー。先送りを続け、どんどん状況が悪くなり、非常に難しい人生を生きていくストーリー。どちらが望ましいかと問われたとしたら、すぐに気づくと思われます。

また、メタファーを活用するのも術の一つです。

メタファーとは、「人の一生とはまるで四季のようなものだ」などの、イメージを想起するような例えの表現です。

「私は暗闇を照らす光だ」など、良いイメージを引き出すメタファーは、私たちに力を与えてくれ、感情を前向きにする効果が得られます。

一方、「霧の中にいるようだ」「暗闇の中にいる」「見通しは暗い」「身体が鉛のように重い」「鍵でつながれているようだ」…。

といったメタファーを使ったとしたら、私たちは自分の感情に悪影響を与え、行動への力を奪うでしょう。

すぐに行動する自分になるには、まず自分に良くない感情をもたらす悪いパターンを特定することがすべてのはじまりです。

◎考えを書き出す。

◎日記を書く。

◎録音、録画する。

◎瞑想する。

ポイントしては、こういった方法を用いることで自分のパターンを観察し、改善策を考えることが重要です。

 

バカバカしい言葉

自分を振り返り、悪いパターンを見つけた場合はすぐに中断する必要があります。

そんな時は自分なりにバカバカしいことを認識することが有効だそうです。ちなみに、著者は鼻の穴に指を入れ、その状態のまま、ミッキーマウスのような高い声で「難しすぎるにゃー」と言うことを推奨しています。(笑)

 

新しいパターンのインストール

古い、先送りを生み出していた悪いパターンを特定しそのパターンを中断させたら、そこで終わりではありません。次に自分に力を与え、自分を行動に向けさせる新しい言葉をクセにしていくことが必要です。自分を行動に向けさせてくれる、力を与える言葉には、次のようなものがあります。

◎知っているとしたら、何をするか?

◎私は答えを持っていると知っている!

◎理想の人生を生きるために何でもやっている!

◎今すぐにやらなければならない!

◎私は「実際に行動に移す人」だ!

◎簡単、簡単、簡単!

などといったようにポジティブで前に進みたくなるような言葉を確信のこもったトーン、姿勢、表示で繰り返し言って自分に力を与えることによって、行動に向けていくことが成功へとつながります。

また、そうした言葉は紙に書いて貼るなどして、つねに自分の目に触れる位置におくことや験担ぎとしてとんかつ(勝つ)を食べ吸収することも有効的です。

そのように、確信、感情を込めて、自分に力を与えてくれる言葉を反復して唱えることをインカ―テーションといいます。

 

20分間でモチベーションを高めるには?

ステップ①

20分間のモチベーションを高める習慣を、なんらかの運動と組み合わせるのがベスト。例えば、リバウンダーで飛び跳ねたり、ジョギングしたり、同時にビジョンボード(ゴールや理想のイメージの写真を貼り付けたもの。)を見ることのできる運動であればさらにベストです。

ステップ②

運動しながら、自分が望む理想の人生を表すビジョンボードを見て、一度につき1つのゴールとその達成から得られる自分へのメリットに集中します。そのゴールをすでに達成した、または成功によって手に入れたメリットを楽しんでいるところを想像しましょう。より想像豊かにするために、「このゴールを達成した今、何が見えるだろう?」と自問してみましょう。

ステップ③

目は閉じていても開けていてもいいですが、すでに成功したと現在完了形で頭の中で画像化(映像化)することが重要です。たとえば、自分のゴールが月に100万円を稼ぐことであれば、手に持っている預金通帳の預金額が100万円であることが見えるでしょう。そしてその画像をさらに大きくし、鮮明にイメージしましょう。

ステップ④

このゴールが達成した時、自分自身に何と言うか?または、ほかの人は何と言うか?もし自分に何か言うのであれば、声に出して言いましょう。もし誰かの声が聞こえるなら、何を言われているのか耳を傾けましょう。聞こえてくる声のボリュームをうんと上げ、クリアに聞きます。

ステップ⑤

自分の思いをしっかりと感じてください。他人事として感情を切り離すのではなく、完全にその思いを今、ここで感じてみましょう。「このゴールを達成した今、どう感じるだろう?」と問いかけて思いを感じます。

ステップ⑥

成功の感情を味わったらすぐに、力強く声に出して「理想の人生を生きるために何が何でもやっている!」と言いましょう。成功への決意を自分の中にしっかりととどめておくために、これを数回繰り返します。

 

これらのプロセスを20分間続けることで、すぐに行動に向かっていける感情、状態を実感することができると思います。

 

第5章「理由」-成功の80%を占めるものについて~すぐやるためのゴールのつくり方~

ゴールが明確になっていて、そのゴールに向けて、何が何でも達成したいと思える絶対的な理由が見いだせていれば、ゴールへの80%は達成されたと言っても決して過言ではありません。

自分の中に、絶対的にゴールを達成したい、と思える強い理由があり、その理由、欲しい結果にフォーカスしていれば、自分に必要な行動を先送りすることはなくなるでしょう。

そこで気を付けておきたいのが、目指すゴールについてを「100万円稼ぎたい」「医者になりたい」といった世俗的でありふれたような数字や象徴の目標ではなく「なぜならそうすることで○○がしたいから~」というように高次の意味付けをするべきだということです。

著者は自身の体験として、毎月100万円稼ぎたいという漠然とした理由でとどめるのではなく、そのお金を使って「愛すべき息子と一緒に幸せに暮らしたい」という鮮明な理由があったからこそその願いを叶えたと語ります。

「年収を上げたい」という目標を持っているならば、なぜ「年収を上げたいのか?」をとことん考えてみましょう。もしかしたら、「起業準備をするため」や「老後の生活費を準備したい」という理由かもしれません。しかし、それではまだ弱くステップに過ぎません。「起業した先の人生には何があるのか?」「安定し老後を得るということは、人生にどんな意味をもたらすのか?」とさらに抽象度を上げ自分に問いかけましょう。

そこで絶対的な理由を生むことができれば、人は自分を行動に向かわせることができます。また、大きい理由が1つでもたくさんの理由が見つかっても良いので、それを書き出すことで原動力になります。

シーソーをイメージしてみると、

地面についている方は「行動」と書かれた重そうなものが乗っており、一方の宙に浮いているほうには何も乗っていない、これが行動することができない状態です。

浮いている方に理由を乗せていった時、軽いものでは逆転できず、行動は浮き上がりません。なので、行動が飛び上がるような、重たい理由を反対側に乗せることが大切です。もしくは、そこまで重たいものが見つからなくても、いくつもの理由を積み重ねても良いということです。

 

行動、結果を生み出す3つの質問について

いつも自分にすることで、望んだ結果がなかなか得られない時も、モチベーションを失うことなく、常に行動し続けられる質問として、次の3つのもの、(R・E・M)があります。

R=Result:結果。

E=Emotion:感情。

M=Massive Action Plan:大量行動プラン。

 

R:結果

達成することを決断している欲しい結果は何か?(今、今日、今週、4半期、今年)

多くの人は、真っ先にやり方や方法論、できるかどうかにフォーカスしてしまいがちです。しかし、できるかどうかばかり考えていると、本当の意味での決断にはつながりません。

どんなことが実現できたら良いか、ということに基づいて考えることが重要です。

 

明確なゴールを設定するフレームワーク(枠組み)として、S・M・A・R・Tルールというものがあります。

S=Specific:具体的であること

具体的な結果は何か?どうしたらゴールを達成できたことがハッキリとわかるか?

 

M=Measurable:測定可能であること

達成したことがどのように分かるか?

 

A=Attainable:達成可能であること

1から100のうち、どれだけ達成の確信度があるか?

 

R=Relevant:関連性がある

なぜこのゴールが重要なのか?

 

T=Time-Sensitive:期限があること

いつまでにこのゴールを達成することにコミットしているか?

 

成功者は、過去ではなく、未来、目の前のタスクではなく、つねに得たい結果にフォーカスしています。

ただ単に「お金が欲しい」と言っている人と、「2016年3月31日までに、新規顧客による売上げを500万円上げる」と言っている人では、行動に違いが出てくるのは明白です。そして、得たい結果が明確になっていることによって、行動の方向性も明確になり、日々ゴールに向けて正しい位置にいるのかも分かるようになります。もし、ゴールが少しズレている場合であっても、早いうちに気が付いてすぐ修正することができます。

E:感情

なぜこの結果を達成したいのか?

なぜ達成する必要があるのだろう?

この達成が何を与えてくれるだろうか?

この結果を達成することに1から10でどのレベルで決断しているだろうか?

 

成功の80%は心理面であり、20%が行動(やり方・方法論)です。つまり、このステップは極めて重要だと言えます。

自ら感情のスイッチを入れましょう。

 

M:大量行動プラン

この結果を達成するための具体的な行動は何か?

最初に「何をすべきか?」と聞くべきではありません。これは3番目に聞くべき質問です。得たい結果が明確になっていて、止むに止まれぬ絶対的な理由が見つかったあとにすべきなのがこの質問

ここで重要なのはたくさんの具体的な行動をリストアップすることです。少ししか行動しなかったら、当然得られる結果も少なく、大きな結果を得ることは困難です。たくさん行動するからこそ、素晴らしい結果を得ることができます。

そこで答えが出た場合は、「ほかには?」と聞いて、さらに自分の中からたくさんの答えを引き出しましょう。1つや2つの行動ではなく、次々に行動に移していける大量の行動リストをつくりましょう。

 

ここまでの順番がポイントです。

得たい結果を明確にして行動の方向性を明確にし(R)、

そして止むに止まれぬ理由を特定し(E)、

そこではじめてやり方(M)です。

実際にR(結果)・E(感情)・M(大量行動プラン)の質問に答えて、

手帳やパソコンなどに書き出してみましょう。

R・E・Mメソッドを習慣にすることで、行動へと向かう必要あフォーカスを得ることができます。

 

なりうる最高の自分を目指す

あなたにとって、夢や目標というものは、何を意味するでしょう。答えは人によってさまざまでしょう。

著者は究極的には夢や目標が達成されることだけがすべてだとは考えていません。

私たちは「なりうる最高の自分」になるべきであり、目標というのは、そのためのツールに過ぎません。したがって、結果だけ見て、人生の最後に「イエス」や「ノー」と言ってはいけません。

時には望んだどおりにいかないこともあると思います。しかし、一貫してその目標に向かって日々研鑽し、成長し続けることそのものが、「なりうる最高の自分」に近づく最も尊い、価値ある行為でなのだと…。

そして目標達成の結果はその副産物です。

「自分の人生から先送り・先延ばしをなくし、さらに自分の望む将来、次のレベルに向かえるだろうか?」

それを「Yes」と肯定することができたならば、

さらに「どんな行動をしようか?」と質問を重ねましょう。

情報をただの知識としてとどめるのか、実際に活用することで望む人生を手に入れるか。

おそらく、多くの人が感じている通り、行動が伴わなければ決して結果がでることはありません。

また、

「学ぶべきことがたくさんある世の中、自分がどうのように学ぶテーマを決めるのか?」

「それは行動だけが次に自分が何を学ぶべきかを教えてくれる。」

 

 

個人的に本書の中で最も印象に残った一説です。

行動を起こすと、うまくいったにせよ、うまくいかなかったにせよ、今、自分が何を学ぶべきか、どんな能力、知識、技術をより向上させるべきなのかが分かるのだと、

うまくいったらその考え方、やり方は効果的だったということです。

思ったようにいかなかったのなら、何かを変える必要があり、それとは違った考え方、やり方、能力、知識、技術が必要とされていることを意味します。

あとは自分の求める結果をすでに得ている人を探し出し、学ぶ対象を定め、実際に学ぶ。

そして、何を置いても実践する。行動しなければ何も起こらず、フィードバックを得なければ、今、何を学ぶべきかも分からない。そしえ、ただただ勉強を繰り返しても、それだけで実際に行動に移さなければ現実は変わらない。

それが学びから実際に結果を得ることができる人と、学びを結果につなげることができない人との違いを生み出す大きなヒントになります。

 

以上が、

「行動の科学」についてのまとめです。

 

本書の内容を知識としてとどめるにしからず、これからの自分が行動する上での手がかりとして活用することが大切であり、それに尽きます。

前進あるのみ!

 

 

行動の科学――先送りする自分をすぐやる自分に変える最強メソッド

行動の科学――先送りする自分をすぐやる自分に変える最強メソッド