変色するセンス
コーヒーを飲むと頭が冴え、
感覚が鋭くなる分、
デザイン、口当たり、味覚などを意識しやすくなる。
ふと、
そのことに思い当たった。
高級感のあるエレガントなマグで口にするのと、
精巧さに欠ける無機質なカップを手に取った時では、
その時の味が変わる。
心做しか今日使ったものは、
印刷する絵だけにこだわったプリントTシャツのようなデザインが花瓶に見え、
注がれた液体からは土を連想させた。
持ち手や飲み口は無骨で太々としていた。
昨日のアンティークでパリの光景を想わせるコーヒーカップはファッションデザイナーが手がけたものということもあってなのか、
エレガントで文化的なひと時を過ごすことが出来たというのに。
ビスクドールでの人形遊びに適した
繊細なつくりをしていて、
動かす度に上品な音が生まれる。
自然と丁寧に扱っていたくなる趣があった。
どちらが優れているかということはまた別の話だ。
(個々人の美学は、果てしない芸術的議論になる)
とにかく私たちは、
今その瞬間に反響したものを映している。